【 「はじめに」 より 】
一つの産業にはいろいろな業種のさまざまな企業がビジネスでかかわります。本書が取り上げる産業にはどのような企業がビジネスを拡げ、どのような技術が有望だと考えられているのでしょうか。産業情報の一つである特許情報を紐といて産業のすそ野を観るように企業と技術の現状を俯瞰し、新たなビジネスチャンスを見出すきっかけを探ります。
(中略)
特許情報を調べると、どの企業がどの技術分野のどのような技術に重きを置いているかがわかります。情報量の豊かさだけでなく、具体的な企業名や具体的な技術の内容を知ることができる情報ソースとして、特許情報は、株式情報や産業統計資料などに比べて勝るとも劣らない優れた産業情報なのです。
本書は、このような産業情報として優れた性格を備えた特許情報を調査しています。そして、特許出願した企業がどのような業種に属するかを調べることによって、その産業には想像を超えるさまざまな業種がかかわる実態を浮かび上がらせました。さらに、業種別に主なプレイヤー企業と、それぞれの企業が産業と接点を持たせたいとねらう具体的な技術を詳らかにしました。一つの産業にはかくも多様な業界と企業、技術がかかわっています。特許データを活用すれば新たなビジネス参入の機会を見出せます。ビジネスチャンスを探る資料として本書をご利用ください。
【 [特許データからビジネスチャンスを探る] シリーズ特許分析レポートのねらい 】
本書は特許情報に基づいて、産業として注目される市場に対して、どのような企業が特許出願というルートを経由して参画しており、それぞれの企業が具体的にどのような技術でかかわりをもっているのか、業種別に紐といています。
特許情報を集合データとしてマクロな視点でみる、あるいは、個々に紹介される一件一件の発明情報に迫ってミクロに内容を掘り下げてみる、さらには、業種別にどのような企業がメジャーな企業として既に参画しており、まだ出願件数こそ少ないものの、固有技術が明確な企業や異業種からも新たなチャンスを伺っている模様など、ビジネスチャンス探索の道しるべとしてご利用ください。
企業シェアや出願件数などのマクロ情報は、市場の全体状況を把握する目安となりえます。また、中核的産業だけでなく中核を取り巻くすそ野産業を俯瞰できることが、特許情報を情報源とする大きなメリットといえるでしょう。
特許情報をミクロに掘り下げてみると、個々の出願内容から企業の技術力を知ることができます。特許情報に現れるのは、数年先から20年後を見すえた将来有望な技術です。先行する技術を知り、自社技術の方向性を見定める機会にもなります。また、特許情報は注目市場が求める技術の具体例としてとらえることができ、川上企業の潜在能力や、川下企業の技術的課題が浮き彫りになります。
本書ではさらに注目市場をいわゆる業種別に分けて企業と技術の両面からデータを紐ときました。その業種における代表的な先行企業と取り組む技術がわかります。自社の属する業種をみれば、ライバル企業の動きが把握できます。また、異業種企業や大学、研究機関の状況を知り、提携の可能性を探ってみてはいかがでしょう。
注目市場のビジネスチャンスを開拓する機会として、通常のマーケットレポートでは得られない特許情報を用いた本シリーズをぜひお役立ていただければ幸いです。