▼ 『モバイルディスプレイの需給展望と企業戦略2011年版』 エグゼクティブサマリー
ROA Holdingsでは、スマートフォンの急速な拡大を背景に 「モバイルディスプレイ」 の重要性がこれまで以上に高まっている現在、これからの携帯電話関連メーカーと部品業者などのために毎年 「モバイルディスプレイ」 に特化した需給展望レポートを発行する予定である。
ROA Holdingsはこの分野を環境的、技術的、事業的な特徴で分析することによって、「モバイルディスプレイ」 を 「モバイル環境で使われる10インチ以下のカスタマイズディスプレイ」 と定義し、この市場に関連する特に需給展望を中心としたレポートにフォーカスした。
今後、モバイルディスプレイは2015年まで数量ベースで年平均5.9%、金額ベースで年平均10.6%の成長が期待される。出荷数量の増加率に比べ売上の増加が大きいとする理由は、高解像度製品の比率が伸びて全般的にASP (平均販売価格: Average Sales Price) が増えている要因とともに、ディスプレイのサイズによる価格の増額化も同時に反映した結果である。
ASPは、2015年まで年平均で4.4%の安定的な上昇が見込まれ、2015年のASPは12.6ドルに達すると見られる。
[図] アプリケーション別出荷量の予想 (2011~2015年)
生産力も継続して増加し、2015年まで年平均15%の成長が見込まれる。特にハイエンドを生産できるLTPSの生産能力の増加が大きいと見られ、生産能力が低下していた日本地域はアップルの投資によって再び増加に転じると見られる。
現在、生産力の40%を占めている台湾は、日本の復活と中国の躍進によって生産力に占める比率が減少していくと見られ、ハイエンドは日本と韓国の企業が強みを持ち続けると見られる。
[図] 地域別の生産能力とその比率 (2011~2015年)
需給については、2012年までハイエンドを中心に供給不足が見込まれるが、2013年以降は供給過剰に転じると見られる。供給過剰の状態はAMOLED、フレキシブルディスプレイのような新技術とアプリケーションの積極的な導入を加速させる機会になるだろう。
モバイルディスプレイ企業は、過去のような高い収益を期待できない事業構造に移行して再編を続け、日本企業は事業撤退や売却も予想される。そのため、投資余力を持つ幾つかの企業が中心となる市場構図に変化していくだろう。また、アップルの投資によって始まったセットアップ企業の直接参入がモバイルディスプレイ業界の新たな主体になる可能性が大きい。
※ 本文内の図表の数値は、Excelデータでご提供 (PDF版に付属)