▼ 『中国オンラインコンテンツ市場の現況及び展望』 エグゼクティブサマリー
中国におけるオンラインデジタルコンテンツ市場は、インターネット利用者の増加、ブロードバンドインフラの整備と共に急速に拡大している。中国のインターネット利用者数は、2007年6月の時点で1億6,200万人に達し、米国の2億1,100万人に次ぐ世界第2位になった。また、ブロードバンドの利用者も年々増加しており、合わせて中国のインターネットデジタルコンテンツへの需要が急速に拡大している。
中国は現在急速に高まっているコンテンツの需要を満たすため、国内コンテンツ産業の育成を加速させている。特にデジタルコンテンツ産業を重点支援産業と位置づけ、中国国内産業及び製品を積極的に育成する姿勢を明確にしている。 中国の文化部は2006年に 「第11次5カ年計画時期の文化発展計画要領」 を発表し、ゲームやアニメ産業をはじめとする文化コンテンツ産業の発展を積極的に推進しつつ、一方で海外コンテンツ企業の参入の受け入れと引き締めを繰り返しながら、現在は国産コンテンツの開発支援を進めている。
また、中国は2001年にWTO加盟を果たし、2008年に北京オリンピック、2010年に上海万博を控える中、世界に向けて文化市場を開放する姿勢も見せている。中国のコンテンツ産業はまだ技術的にも、内容的にも未熟なところがあり、国産コンテンツだけでは急成長している需要を満たすことが出来ない。よって継続的な海外からの輸入や技術の導入が必要不可欠である。現在、中国当局は厳しい規制を設けているが、今後の中国におけるコンテンツ産業の発展のためには市場の変化に柔軟に対応していくことが予測される。
本レポートでは、中国のオンラインコンテンツビジネスのなかでも、近年中国で最も注目されているインターネット娯楽及び教育コンテンツビジネスについて分析を行なった。中国における教育、ゲーム、音楽、映像、アニメーションのオンラインコンテンツ市場規模は2006年末時点で273億3,000万元に達した。中国のインターネット利用者の更なる拡大によって娯楽及び教育コンテンツの市場規模は2010年には955億2,000万元の4倍近くまで拡大していくと予測される。
[図] 中国におけるオンラインデジタルコンテンツ市場規模推移と今後の予測
![【図】中国におけるオンラインデジタルコンテンツ市場規模推移と今後の予測[中国オンラインコンテンツ市場の現況及び展望]](/upload/handload/img/roa_cholctm_img1.jpg)
特に、中国のオンラインゲーム市場では、海外の輸入オンラインゲームだけでなく、国産のオンラインゲームもここ3、4年の間に急速に拡大してきた。中国では90年代にパッケージゲームソフトの海賊版の問題で停滞していたゲーム産業がオンラインゲームの登場により大きく発展した。中国におけるオンラインゲーム市場は年々拡大傾向にある。2006年の中国におけるオンラインゲーム市場規模は65億4,000万元に達しており、2010年には173億5,000万元に達すると見込まれる。
また、1998年から始まった中国のオンライン教育は、大学教育を中心に行なわれてきたが、2006年にはオンライン教育利用者が930万に達し、市場規模は202億元まで拡大した。中国では、これからインターネットが普及するにつれオンライン教育利用者がさらに増加し、2010年の市場規模は740億元に達すると予測される。
~ 調査範囲 ~
本レポートは、近年中国のオンラインデジタルコンテンツ産業で最も注目されているゲーム、音楽、映像、アニメーション、教育について市場動向と今後の予測、そして主要プレイヤーの戦略について分析した。全体は4部で構成されており、第1章では、中国におけるインターネット事情について述べ、中国におけるインターネット利用者の構造、インターネット利用環境及びインターネット利用者の特徴について整理した。第2章では、海外プレイヤーの中国進出において、最も重要な中国のオンラインコンテンツに関連する規制について述べた。第3章では、オンラインコンテンツビジネスの中で、娯楽、教育関連ゲーム、音楽、映像、アニメーション、教育についてコンテンツ分野ごとに市場分析と予測を行ない、また主要プレイヤーの戦略分析と各コンテンツ分野の今後の将来性について分析した。第4章では、第3章に引き続き、中国におけるオンラインコンテンツ産業の課題と今後の将来性について分析し、2010年までのオンラインコンテンツ市場を予測した。また、コンテンツ産業が最も発展している日本の関連企業に向けて4つの提言を示した。
~ 調査プロセス ~
本レポートはSecondary Research及びPrimary Researchを並行している。レポートの作成のため、オンラインコンテンツプロバイダ、サービスプロバイダと中国のコンテンツ関連機関文化部、情報産業部、国家新聞出版総署、教育部、商務部などの政府機関の発表資料と各企業が公表した各種の文献資料、オンラインコンテンツ市場に関連する記事及び中国の多様なメディアの分析記事等を収集して、分析を行なった。また、各コンテンツ分野の主要プレイヤーへの今後の戦略についてのインタビューを行ない、オンラインコンテンツの今後の将来性について分析した。また、中国と比べてコンテンツ産業が最も発展している日本と比較しながら、今後拡大していく中国のオンラインコンテンツ市場への進出について模索した。
本レポートでは、中国のオンラインコンテンツ市場の最新事情と今後の動向をまとめ、日本企業にとって参考資料になるよう考慮して作成された。今後中国のオンラインコンテンツ市場への進出を考慮している日本企業への一助となることを期待する。